ここ数日、映画「新宿スワン」の映画公開のプロモーションで、主演の綾野剛さんがテレビに出まくっている印象があります。この「新宿スワン」というのは、そもそもネオン街を舞台にした風俗嬢やキャバクラ嬢をスカウトする青年を主人公とした漫画だったんですけれど、まさか、こんなに連載が続くとは思いませんでした。ましてや映画化までされるとは。

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東京都迷惑条例とほぼ同時スタートの新宿スワン

なぜ連載が続かないと思ったのかと言えば、それは漫画の連載スタートが、ちょうど「東京都迷惑防止条例」の施行とほぼ同時だったからです。この法律、「都内での違法なスカウト行為は認めません」っていう条例です。もちろん新宿も東京ですから、そこに該当します。つまり偶然なんでしょうけど、東京でスカウト行為をしたら違法だぞ!って東京都が言い出したのと同時に、違法スカウトの漫画がスタートしてしまったというわけです。東京都や警視庁から見れば「喧嘩、売っとんのか、こらぁ!」って感じだと思います。東京都が違法だという職業の主人公が、格好良くドラマを乗り越えていくわけですからね。だから各方面から圧力がかかって、連載は強制終了になるんだろうなぁと思っていました。しかも原作の漫画家さんは、元スカウトらしいですしね。連載が終了になれば、メディア的にもいい見せしめにもなるでしょうから。ですが、続いたんですね。もっとも現実の違法スカウトも続いてるから、仕方ないのかな。ただ、やっかいなのは、この漫画を見て憧れて、スカウトになろうなんて青年が地方から東京を目指して来なければいいなぁとは思います。実際、テレビドラマの「夜王」の放映の後は、ずいぶんと

リアル新宿スワンたちはどうしているのか

で、この漫画の連載がスタートしたのが2005年。ちょうど10年前なんですね。その頃、スカウト業界も、それほど厳しく規正がかかるとは思っていなかったのか、歌舞伎町のモア2番街(新宿アルタの横、果物店「百果園」のある路地)あたりは、スカウト通りとあだ名されるほど、いつもスカウトが10人くらいいました。しかし、ことのほか、警察の取締は厳しく、大手のスカウト会社は解散に追いやられ、勢力はどんどん弱まっていきました。あわせて風俗店はスカウトから女の子を凱旋してもらうと違法行為になってしまうので、スカウトから表向きは手を切る店も続出しました。ちなみに水商売系はスカウトは許されているのですが、性風俗店系へのスカウトは違法になります。ましてやオリンピックも近いこの時期、いずれ警察によるネオン街の一斉摘発が行われるのは目に見えています。その前に、警察に目を付けられたくないというのが、性風俗店側の本音でしょう(最初から、とっととかせいで、とっとと店を閉めるつもりのボッタクリ違法店は例外ですが)。結果、各店が欲しがるようなルックス、スタイル、愛嬌、接客技術を持った女の子を供給できる、実力派スカウト以外は、生き残れなくなってしまったようです。

最近でも、スカウト通りには、ちらほらとスカウトの姿は見受けられます。しかし、その仕事ぶりは、ちょっと疑問が付きます。女の子なら誰でもいいのかと思わせるほど、誰にでも声をかけています。普通にナンパもされそうにないルックスのお嬢さんをスカウトしても、どこの店も雇っちゃくれませんから。リアル新宿スワンは、これから、どこに飛び立つのか?

*REVOLVER dino network 投稿 | 編集